詰まらんこと...

それは、静かに流れ続ける生命の証。
詰まりの裏に、動き出す何かがある。

展示紹介

全身に起こる詰まり。

John Hunter展
解剖学の歴史
脳梗塞
脳の展示
心筋梗塞
心臓の展示
肺塞栓症
肺の展示
Digital Art展
デジタルアート展

John Hunter展

人間は、自らの身体を探求し、その神秘を解き明かすことで医学を進歩させてきた。その探求の最前線に立っていたのが、18世紀ロンドンの異端の天才解剖医 John Hunter(ジョン・ハンター)である。

当時、医学界は瀉血や切断術など迷信めいた治療法に支配されていたが、ハンターは徹底した観察と解剖実験によって、近代外科医学の礎を築いた。

この「Anatomy History」では、ウェンディ・ムーア著『解剖医ジョンハンターの数奇な生涯』を下敷きに、彼が遺した膨大な標本群や記録を通して、その飽くなき科学的好奇心を追体験できるものとなっている。

彼の驚異のコレクションは、人体を自然界の一部として捉え、時代を超え、医学や科学に革新をもたらした。ここではハンターの残した数々の解剖標本、彼の生涯を物語る資料を通して、人体への理解が深まるまでの奇妙で魅力的な歴史を紐解いていく。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が血栓などによって詰まり、血流が途絶えることで脳の一部が酸素や栄養を失い、細胞が壊死してしまう疾患である。

本展示では、脳梗塞の発生メカニズムを、血管内での血栓形成や血流遮断の様子を再現した立体模型と映像を用いてわかりやすく解説する。

また、発症部位によって異なる運動障害や言語障害などの症状を紹介し、脳のどの領域がどのような機能を担っているのかを学ぶことができる。さらに、再灌流療法やリハビリテーションといった最新の治療・回復の取り組みについても取り上げ、人間の生命活動を支える「脳血流」の重要性に迫る内容となっている。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を供給する冠動脈が血栓などで詰まり、血流が途絶えることで心筋の一部が壊死してしまう疾患である。

本展示では、冠動脈の構造と血流の経路、そして血栓形成から心筋壊死に至るまでの過程を、精密な立体モデルと映像を用いて解説する。

さらに、発症時にみられる胸痛や呼吸困難といった症状のメカニズム、早期治療による心筋救済の重要性についても紹介。カテーテル治療やバイパス手術など、現代医療における代表的な治療法を取り上げながら、心臓が再び拍動を取り戻すまでの過程を学ぶことができる構成となっている。

肺塞栓症

肺塞栓症は、血液の塊(血栓)などが血流に乗って肺動脈に詰まり、肺の一部で血流が遮断されることで起こる疾患である。これにより、酸素と二酸化炭素の交換が阻害され、重篤な呼吸困難や循環障害を引き起こすことがある。

本展示では、下肢や骨盤などで形成された血栓が血流を通じて肺へ到達し、血管を閉塞するまでの過程を立体模型と映像でわかりやすく紹介する。

さらに、肺動脈内での血流遮断がガス交換や心臓への負荷にどのような影響を及ぼすのかを、デジタルアニメーションで可視化。予防の重要性や抗凝固療法・カテーテル治療などの最新治療法にも触れ、生命を支える「呼吸と循環の連携」がいかに繊細なバランスで成り立っているかを伝える内容となっている。

Digital Art展

現代の医療現場には、AIやデジタル技術の急速な進化が確実に浸透しつつある。

今回のDigital Arts展では、ChatGPTをはじめとする生成AI、プログラミング技術、そして映像・インタラクティブ演出を駆使して、医療とテクノロジーが交差する最前線を体感できる企画を展開する。

来場者は、仮想空間での診療体験や、AIと対話しながら病態を学ぶコンテンツ、さらには「医療×アート」が融合した没入型映像インスタレーションを通して、医療の未来像に触れることができる。

医学部生ならではの視点と技術を掛け合わせた本展示は、デジタルの力が医療をどう変革するかを、視覚と知性の両面から描き出す革新的な試みである。