人間は、自らの身体を探求し、その神秘を解き明かすことで医学を進歩させてきた。その探求の最前線に立っていたのが、18世紀ロンドンの異端の天才解剖医
John Hunter(ジョン・ハンター)である。
当時、医学界は瀉血や切断術など迷信めいた治療法に支配されていたが、ハンターは徹底した観察と解剖実験によって、近代外科医学の礎を築いた。
この「Anatomy
History」では、ウェンディ・ムーア著『解剖医ジョンハンターの数奇な生涯』を下敷きに、彼が遺した膨大な標本群や記録を通して、その飽くなき科学的好奇心を追体験できるものとなっている。
彼の驚異のコレクションは、人体を自然界の一部として捉え、時代を超え、医学や科学に革新をもたらした。ここではハンターの残した数々の解剖標本、彼の生涯を物語る資料を通して、人体への理解が深まるまでの奇妙で魅力的な歴史を紐解いていく。